2型糖尿病発症予防のために肥満予防が重要といわれるが、日本人の場合、肥満にならなくとも糖尿病を発症するケースが多い。この発症には年齢の違いによって発症機序が異なるのではないかと考え、週令の異なるICRマウス(オス)を用いて、果糖ぶどう糖液糖(HFCS)水を過剰摂取させることにより非肥満耐糖能障害モデルマウスを作製し検討を行った。若齢マウスでは糖代謝に関与する酵素のmRNA量が低下したが、壮年期に相当するマウスの群では、それらの低下は確認できなかった。HFCS水の過剰摂取による耐糖能異常の発症機序は、年齢によって異なることが推測された。 増殖因子の一つであるFibroblast growth factor-2(FGF-2)は炎症や組織修復の際に発現・分泌され、細胞増殖、血管新生促進、分化能に作用する。FGF-2の脂肪組織由来間質細胞(ASCs)に対するサイトカイン・増殖因子分泌能の影響をin vitroで検討した。ASCsはもともとサイトカイン・増殖因子分泌能が高い。ASCsにFGF-2を添加すると濃度依存的に VEGF、IL-12、IL-15、IL-18、MIP-1、G-CSFの分泌量が増加した。しかし、KC、MCP-1に関しては、低濃度のFGF-2添加では分泌量が増加したが、高濃度の添加では逆に分泌量が低下した。生体内では、複数の細胞の相互作用によって増殖因子・サイトカインの分泌がコントロールされている。FGF-2は骨格筋中の脂肪細胞形成を促進するという報告があるが、それはFGF-2の濃度に左右され、さらに浸潤した炎症細胞のキャラクター及び数によって脂肪細胞の形成の程度が変わるのではないかと考えられた。
|