研究課題/領域番号 |
18K11124
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344890)
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研究分担者 |
深津 佳世子 (佐々木) 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70338903)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | microRNA / 機能性食品 |
研究実績の概要 |
玄米と白米の体重・糖脂質代謝への効果を見たランダム化比較試験で得られた血清サンプルを対象にmiRNA発現の検討を行った。プール血清を対象にしたmiRNA発現解析で変化が認められたmiRNAについて、血中発現量および生物学的意義を考慮してmiRNAを選定し、個別の血清サンプルでmiRNA発現解析を行った。現在15種類のmiRNAについて検討を加えた。一部のmiRNAで玄米群と白米群で発現に差が認められたが、各miRNAの標的遺伝子を考慮すると、各miRNAの変化と体重・腹囲・糖脂質代謝の変化との関連は、偶然ではなく、生体の反応を反映していると考えられ、血中miRNAの変化は、生体の応答を反映していることが示唆された。これらの結果より、玄米による体重減少効果に関与するmiRNAというよりは、体重減少に対する生体の反応に対応したmiRNA変化と考えられた。 オリーブ茶の抗肥満・糖脂質代謝異常改善効果を見たランダム化比較試験を行い、血清サンプルを採取した。この試験では、体重・腹囲に有意差は得られなかったが、オリーブ茶群で有意な脂質値の改善が得られた。 低γポリグルタミン酸(γPGA)納豆を対照に、高γPGA納豆の肥満・糖脂質代謝改善効果を検討したランダム化比較試験を行い、血清サンプルを採取した。現在、エンドポイントについて解析中である。 高齢2型糖尿病患者を対象に分岐鎖アミノ酸(BCAA)の骨格筋および血糖コントロールに与える影響を検討するランダム化比較試験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、151名を対象とした玄米のランダム化比較試験のサンプルを用いて血清miRNAの発現を評価する予定であったが、パイロット研究として行った玄米のランダム化比較試験のサンプルでの予備的検討に時間がかかっているため。現在、プール血清で発現に変化のあったmiRNAの発現を個々のサンプルで検討している。これまで、12種類のmiRNAについて発現解析をしており、miRNAの標的遺伝子とその遺伝子の機能、miRNAの発現レベルをもとに、151名を対象とした研究のサンプルの検討を行う予定にしている。 高ポリグルタミン酸含有納豆研究は、単回投与では食後高血糖の抑制が認められた。現在、長期試験を行っており、その結果で有意差が認められるようであれば、miRNA解析を行う予定である。 BCAAのランダム化比較試験は、試験開始が遅れたものの、試験はスタートした。
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今後の研究の推進方策 |
玄米研究では、解析候補miRNAの選定を行い、151名を対象に行ったランダム化比較試験の血清サンプルでmiRNA発現を定量し、体重・糖脂質代謝・血中FGF-21・血中ANGPL4との関連について解析を行う予定である。 また、オリーブ茶研究では、血清miRNAの変化について網羅的に解析を行い、その中から変化のある候補miRNAを選定し、さらに解析を行っていく。 高ガンマPGA納豆研究とBCAA研究では、エンドポイントに有意差があるかどうかを確認した上で、miRNAの発現変化について解析を加えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
151名を対象とした玄米研究の血清サンプルの解析が遅れ、RNA抽出キットおよびmiRNA検出のための試薬を使用しなかったため。解析対象とするmiRNAが決定すれば、解析のために試薬を購入し、研究を進行させる予定。
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