高齢2型糖尿病患者34名に対する、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と大豆タンパクの骨格筋および糖脂質代謝に与える影響を見るためのランダム化比較試験を行った。BCAA群は6g/dayのBCAA(ロイシン3g、イソロイシン1.5g、バリン1.5g)、大豆タンパク群は7.5g/dayの大豆タンパクを服用した。24週間の介入によって、両群ともに骨格筋量に有意な変化は認められなかった。膝伸展筋力は大豆タンパク群で、握力はBCAA群で有意に増加したが、2群間で有意差は認めなかった。膝伸展持久力は、BCAA群で有意に低下したが、2群間に有意差は認めなかった。抑うつは、BCAA群で有意に改善したが、2群間に有意差はなかった。空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、血清IGF-1濃度は、両群ともに有意な変化は認めなかった。 BCAA群、大豆タンパク群の3名の0週と24週の血清からmicroRNAを抽出し、768種類のmicroRNAの発現プロフィールをリアルタイムPCRを用いて比較した。すべての検体で発現が止められたmicroRNAは、116種類であった。そのうち、2倍以上の発現の変化が認められたmicroRNAは16種類あった。両群とも2倍以上発現が増加したmicorRNAは10種類、両群とも2倍以上発現が低下したのは4種類、BCAA群で増加、大豆タンパク群で減少したのは2種類認められた。BCAA群と大豆タンパク群で発現が逆だったmicroRNAのうち1種類は、ある種の癌で発現が増えたり、炎症との関連が報告されているもの、もう一種類は癌細胞のferrotosisと関連が報告されているものであった。
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