本研究では、肥満で起こる脂肪細胞の機能異常に、特定のタンパクにおけるシアル酸量低下が関与していることを見出した。シアル酸は、細胞のアンテナとなる糖鎖の端にある糖として、免疫をコントロールする一方、ガンや疾病の発症等にも関与することが知られる成分である。シアル酸の経口投与は、肥満マウスの体重、内臓脂肪量、血総コレステロール等を有意に抑制したが、これら効果は、シアル酸の有する抗酸化能を介した可能性が高いことが示された。今後、肥満に関連する糖尿病、動脈硬化などの疾患の治療を考える上で、生体および天然食品に含まれ安全性の高い成分としてシアル酸を標的にした新たな治療法の開発が期待された。
|