研究課題/領域番号 |
18K11141
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
釘田 雅則 藤田医科大学, 疾患モデル教育研究サポートセンター, 講師 (50440681)
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研究分担者 |
熊本 海生航 藤田医科大学, 疾患モデル教育研究サポートセンター, 講師 (10469322)
吉村 文 藤田医科大学, 疾患モデル教育研究サポートセンター, 講師 (90466483)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多発性嚢胞腎症 |
研究実績の概要 |
多発性嚢胞腎症(PKD)は、1000人に1人の割合で発症する遺伝性の腎疾患である。その責任遺伝子として、PKD1とPKD2が同定されている。PKD1及びPKD2を原因とするPKDは常染色体優性であるが、30-40歳代まではほとんど症状が出ない。しかし、40歳代以降腎機能が悪くなり、60歳までに約半数の患者が腎不全になる。常染色体優性にも関わらず、病態の発症が遅く、病態進行に差がみられる事から、体細胞のPKD遺伝子の変異が関与しているのではないかと考えられている。そこで、ヒトPKD1遺伝子とホモログな遺伝子をノックアウトしたマウスを使用して検証することとした。 Pkd1-/-マウスは胎生致死であるが、Pkd1+/-マウスは約6ヶ月齢で嚢胞を形成する。研究に使用したPkd1+/-マウスは、予想に反して嚢胞の数が少なく、またサイズも小さかった。疾患モデル動物は維持・繁殖を繰り返していくうちに、繁殖しやすい病態が軽い動物が増えていく傾向がある。そこで、病態にあえて若干のバラツキを持たせるために、Pkd1+/-と従兄弟関係にあるPkd1+/+交配を行い、その仔らが6ヶ月齢になった時点で病態を解析することとした。 今年度は6ヶ月齢になったPkd1+/-マウスの病態の解析、およびカロリーが同一で各種栄養比率を変えた飼料が腎臓の病態及び責任遺伝子に与える影響を解析する予定であった。しかしながら、研究代表者が2020年3月から2021年2月まで病気療養のために研究を中断したため、2020年度にそれらの解析が行えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、嚢胞の上皮細胞を解析するが、研究に使用したPkd1+/-マウスは予想に反して、ほとんど嚢胞を形成しなかった。疾患モデル動物は、病態が軽い動物が優先的に繁殖して増えていくことが多い。そのため、研究に使用したPkd1+/-の実験群の病態が軽くなっていた可能性がある。そこで、Pkd1+/-と従兄弟関係にあるPkd1+/+と交配を行い、病態にあえて若干のバラツキを持たせることにした。今年度は、それらの仔が6ヶ月齢になったら、腎臓の病態を解析する予定であった。また、カロリーが同一で各種栄養比率を変えた飼料を与え、腎臓の病態や責任遺伝子に与える影響を解析する予定であった。しかしながら、研究代表者が2020年3月から2021年2月まで病気療養のために研究を中断したため、それらの解析ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、Pkd1+/-マウスの飼育を行えなかったため、Pkd1+/-のオスとC57BL/6Jのメスで交配を行い、受精卵を凍結保存した。20201年度は、この凍結胚から研究に必要な数の個体を起こし、カロリーが同一で栄養比率のみを変えた飼料を与える。6ヶ月齢で腎臓の病態を解析する。また、嚢胞上皮細胞からImmature tubule cellと正常部位のNormal tubule cellを切り出し、それぞれPkd1遺伝子の変異部を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月から2021年2月まで病気療養のため、研究を行えなかった。そのため、研究期間を2021年度まで延長して、2020年度の費用を2021年度に使うこととした。2021年度は、Pkd1+/-の凍結胚からの個体化、各種栄養比率を変えた飼料、腎機能の解析、シークエンス解析に研究費を使う予定である。
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