高次元統計学の昨今の潮流としては、オラクル不等式を証明したと呼称しても、実際には「確率〇〇以上で以下の不等式が成立」といった主張をされる場合が殆どである。すなわち、切り取られた部分については何の情報も提供していない。 それに対し、本研究で得られた stochastic maximal inequality は、切り取りの要素を全く含まない、完全な形の不等式である。この成果が高次元統計学の発展に与える学術的息がは大きいと考えられる。そして、それは複雑な統計モデルが用いられることの多い現代の一般社会への応用にもつながるものである。
|