研究課題/領域番号 |
18K11261
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
石橋 豊 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40252308)
|
研究分担者 |
三好 孝典 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10345952)
奥田 隆史 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (20204125)
渡邉 均 東京理科大学, 工学部第二部経営工学科, 教授 (20439920)
大西 仁 放送大学, 教養学部, 教授 (40280549)
黄 平国 星城大学, 経営学部, 講師 (60713154)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 遠隔ロボット制御 / 力覚フィードバック / 協調作業 / サービス品質制御 / 安定化制御 |
研究実績の概要 |
各利用者がビデオを見ながら、触覚デバイスを用いて、遠隔の産業用ロボットを操作するシステムを二つ構築し、二つのロボットアームで一つの物体を一緒に把持して運ぶ作業と、一つのロボットアームが把持している物体を他のロボットアームに手渡す作業を扱った。そして、利用者側端末(マスタ端末)とロボット側端末(スレーブ端末)間の機能分担について検討するとともに、ロボットハンドの位置や高さを揃える空間的同期制御のために、物体を一緒に把持して運ぶ作業では、力覚センサからの情報を用いたロボット位置制御を提案した。この制御は、力を小さくする方向に自動的にロボット位置を移動するものであり、実験によって、物体に大きな力が加わって損傷することがないようにできることが分かった。また、ロボット間にマスタとスレーブの関係を持たせ、研究代表者らが以前に提案した適応型Δ因果順序制御を適用した。さらに、物体を手渡す作業においては、自動的にロボットハンドを手渡す位置まで移動させ、手動操作と組み合わせて手渡す、ロボット位置の追従制御を提案し、その有効性を確認した。 ロボットアームの振動などを解決する安定化制御として、ウェーブフィルタに位相制御フィルタを組み合わせた手法を拡張し、二つのシステム間で安定に力覚フィードバックを共有できるようにした。また、他の安定化制御として研究代表らが提案した、粘性による安定化制御、衝突時反力制御、およびそれら二つを物体の柔らかさによって切り替える制御との比較を行い、各制御の有効適用領域を明らかにした。 人の力の知覚特性を明らかにするため、二つのロボットアームで一つの物体を把持して、片方のロボットアームを上下左右前後のいずれか一方に移動させ、どの程度の大きさの力が働くと力の方向が知覚できるかを調査した。この調査結果は、上記のロボット位置制御に利用された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つのロボットアームで物体を一緒に運ぶ作業だけでなく、次年度に予定していた、物体を手渡す作業を扱い、それぞれの作業に対して、有効なQoS制御を提案することができた。また、安定化制御として、フィルタを用いた安定化制御、粘性による安定化制御、衝突時反力制御、切り替え制御を適用し、それらの有効適用領域を明らかにした。これらの課題については、当初の計画以上に進展している。 一方で、安定化制御においては、ロボットアームの移動可能な方向を3軸から2軸に制限することによって、安定性を確保した。二つのシステムのロボットアームが一つの物体によって接続されることによって、バイラテラル制御がマルチラテラル制御となり、安定化するのが困難になったためである。これは新たな研究課題の発掘ともいえる。 以上から、大きく進展している研究課題もあれば、やや遅れている課題もあるので、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
マルチラテラル制御の安定化のために、研究分担者の三好孝典教授と協力し、フィルタを用いた安定化制御の拡張を更に推し進める。そして、ロボットアームの移動可能な方向の制限を取り除く。また、QoS制御の高効率化のために、ニューラルネットワークや強化学習などのAIを力覚フィードバックに適用する予定である。この研究には、研究分担者の奥田隆史教授と大西仁教授と協力して推進する。 平成30年度に提案した、力情報を用いたロボット位置制御と、ロボット位置の追従制御の更なる高効率化を図る必要がある。前者については、力情報を用いた最適な移動距離を明らかにし、人-ロボット間の協調作業の高度化を行う。後者に関しては、QoS制御の高精度化を図り、移動しているロボットアームに物体を手渡すことができるようにする予定である。 以上の研究によって、力覚フィードバックを利用した、人-ロボット間、ロボット-ロボット間、人-人間の協調を高度化していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)学会参加について別の予算から充当するなど、旅費・参加費の支出が想定よりも減少したため。 (使用計画)おもに今までに得られた成果の発表のための費用(旅費、参加費、投稿費)に利用する予定である。
|