本研究で取り上げたような、発話戦略の分析を目的とした音声データベースの構築は、先行研究は少ないものの、音声合成の高度化には意義深いものと考えられる。研究目的に即したデータベース構築のメリットを活かして、ここで取り上げた音声イベントのような、発話戦略に関する様々な知見の獲得が期待できる。また得られた知見をもとにした音声合成が実現すれば、応用面での期待も大きい。例えば、コミュニケーションロボットと組み合わせた、子供向けの教育・娯楽用の対話システムとしての活用である。こういった環境での音声合成はとりわけ、親しみやすさや表現力が重要であり、本研究の成果はそういった場面での音声合成への応用につながる。
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