研究課題/領域番号 |
18K11419
|
研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
外山 滋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (50360681)
|
研究分担者 |
中村 隆 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 義肢装具技術研究部, 義肢装具士長 (40415360)
白銀 暁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (90404764)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ウェアラブルセンサ / せん断力センサ / トルクセンサ / マルチセンシングシステム / 3軸力覚センサ / 車椅子 / 人体モデル / 姿勢計測 |
研究実績の概要 |
本課題では障害者への応用計測をターゲットにしたシート型ウェアラブルセンサデバイス・システムの開発を進めている。特に、昨年度に引き続き、これまでに開発していたシート型せん断力センサの高機能化や応用計測を進めた。既に昨年度においてこのせん断力センサと導電性ゴム型圧力センサとを積層化させたハイブリッド型3軸力覚センサを開発していたが評価データを得た上で論文化を行った。その結果、論文は採択され2月末にSensors and Materials誌に掲載された(doi:10.18494/SAM.2020.2656)。 また、これとは別に昨年度末よりトルクセンシング機能の開発を行ってきたが、まずはシート型トルクセンサ単体として開発し、測定システムや専用の評価器を合わせて開発し評価データを得た。その結果を元に10月末にIEEE Sensors(カナダ、モントリオール市)において発表した。その成果はProceedingsとしてオンライン掲載されている(doi:10.1109/SENSORS43011.2019.8956576)。また、国内においても電気学会E部門主催のセンサマイクロマシンと応用システムシンポジウム(浜松市)で発表した。このセンサの応用として靴の中に設置することにより運動時の足裏のねじれを測定できるのではないかとの意見を複数の義肢装具士から得ている。 応用計測に関しては分担研究者が担当しているが、昨年度に開発していたマルチせん断力測定システムを用い、人体モデル(膝上から肩までの体幹よりなる)の4箇所にシート型せん断力センサを貼り付けて電動車椅子の上に設置し、人体モデルの姿勢を変化させたときのデータを取得した。その結果はアイルランドで開催される国際学会(ESS2020)にて2020年6月に発表予定であったが、コロナウイルスの影響により学会が延期となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題では障害者への応用計測をターゲットにしたシート型ウェアラブルセンサデバイスの開発を進めている。ここで開発するセンサは原理からオリジナルな物を目指しており、既にそれなりの成果を得ている。中核となるせん断力センサは本課題採択以前より開発を進めてきたものであるが、液体電解質を利用したユニークな構造と原理を有するものである。その発展系をここでは各種開発しつつ、応用実験を進めている。既に昨年度の段階で義足への応用を進め発表もしているが、本年度はさらに車椅子上での姿勢計測への応用などを進めている。ただし、コロナウイルスの影響のために当面の発表の機会が奪われている。 さらに、現時点では応用計測にまでは進んでいないが、新たに開発したシート型トルクセンサも液体電解質を用いたユニークな構造と原理を有するものである。今のところ単体として使用可能なものであるが、サイズがせん断力センサと同一であり、積層化することで一体化が可能である。今後応用計測も進めたい。こちらに関しても学会発表や論文化も順調に進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
本課題を通して複数のセンサの開発を同時に進めている。一昨年度、および昨年度に開発してきた複数のセンサデバイスに関してはなるべく一体化できる様に収斂させたい。また、開発したセンサを利用した応用研究も一層進める予定である。なお、これまでの応用研究からのフィードバックとして測定システムに関する改良点がいろいろと指摘されている。具体的には長時間の計測に対応していない、測定画面表示が小さい、時間軸チャートしかないために測定現場でリアルタイムに結果を把握しにくい、パフォーマンスの悪いパソコンに対応していない、計測時のセンサの破壊や配線の断線が応用計測者には認識しにくい(デバイスに対する詳細な知識がないので)など、センサ開発者には当初はわからなかった細かな問題が発生している。これらの問題は測定ソフトの改良で対応する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進んだため、国際学会を含む学会発表が複数行われたために出張費や学会参加費が膨らんだ他、論文掲載も年度内に行われたために出費が多くなる不安が年度途中にあった。そこで、30万円の前倒し支払請求を行っている。結果として次年度使用額がおよそ19万円となったので、前倒し請求をしていなければ次年度使用額は0より小さくなっていた。
|
備考 |
国際学会(IEEE SENSORS)Proceedingsのオンライン掲載ページ(有料にてダウンロード可能) https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/8956576
|