本研究では、自律移動ロボットが多数存在する未来社会を念頭に置いたブロックチェーンを用いた情報共有システム、さらにロボットを使用するユーザーも含んだロボットネットワークシステムについて調査・検討している。 2022年度は、次の2項目について取り組んだ。 1.前年度までに開発した仮想環境におけるロボットネットワークシステムを用いて、実際に移動ロボットが多数存在する環境におけるシミュレーションを行なった。一般的な市街地環境を模擬したUnity仮想環境に20台の移動ロボットを配置し、そのうちの4台のロボットが市街地環境を4分割した環境地図をそれぞれ所有している。地図の所有者の情報はブロックチェーンに保存され、他のロボットが走行の際に環境地図を使用する場合には、使用した地図の所有者に対して対価を支払う。このシミュレーションにより移動ロボットが必要に応じてブロックチェーンにアクセスし、必要な地図情報の受け取りや対価の支払いが行われることを確認した。 2.前年度に引き続き、ネットワークに接続したROSロボットおよびスマートフォンやWebページ間での情報共有のためのプラットフォームとなるロボット管理マネージャ(rowma)を活用したロボットネットワークシステムについての研究に取り組んだ。特に、スマートフォンを用いてネットワーク内の任意の移動ロボットを選択して遠隔操作できるコミュニケーションロボットを実現した。 最終年度の成果は上記のとおりであるが、研究期間全体としては、ブロックチェーンだけでなく本研究を通じて開発したrowmaシステムのような様々なロボットネットワークの実現方法が考えられる中で、実際にシステムを開発し実環境や仮想環境内での走行実験やシミュレーションを行なった。その結果としてロボットのネットワーク化において提案したシステムが有効であることを示すことができた。
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