研究課題/領域番号 |
18K11581
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
常盤 祐司 法政大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (70434181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 授業支援ツール / 大規模授業 / グループ学習 / 座席指定 / LTI / Word2vec |
研究実績の概要 |
初年度となる平成30年度の計画では、(1)本研究で最も特長的なグループ形成/着座位置指定システムをクラウド上に構築し、秋学期には各種システムから生成されるログを Caliper 形式で一元的に集約し、分析を可能とする機能を追加する。(2)これらの一連のシステムを利用した授業設計を行い、研究協力者の学生を対象として模擬授業を行う。この模擬授業の結果を反映し、次年度の実授業での利用に備えてシステムの改善を図る。とした。 (1)については、Amazon Web Service(以下、AWS)クラウド上にTools for Group Learning Environment というツールを、PHPフレームワークのLaravelを用いて開発した。そして、それを米国Instructure社のLMSであるCanvasとLTI連携して稼働する、グループ学習環境を構築した。グループ形成については、学生が投稿したキーワードと教員が指定したテーマの近似性をWord2vecにより数値化してグループ形成を支援するシステムを開発した。また、Canvasにて生成されるCaliper形式の学習履歴をAWSのSQS、lambda、S3を用いてJSON形式で蓄積し、それをPCにダウンロードしてTableauにて分析する一連のフローを実現した。 (2)については、(1)を構築するために授業設計を行ったが、模擬授業は実施できなかった。 これらの成果は、「意図的にグループを形成する大規模授業支援システムの概念実証」および「最新のIMS標準を実装するCanvasによる授業改善の可能性 -法政大学における事例研究-」というタイトルにて、それぞれ情報処理学会CLE研究会および法政大学情報メディア教育研究センター研究報告にて公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究は、平成31年の授業において実証実験をするためのシステム構築を目指した。模擬授業は実施できなかったが、必要となる機能は構築できた。 課題提案時の本研究の目的は、①グループ形成/着座位置指定支援システムの開発、②グループ学習を取り入れた授業開発と評価基準の策定、③コンテキストを含む Caliper 仕様の検証とIMSへの提案、としていた。 ①においてはグループ形成の方法が明確ではなかったが、キーワードの近似性を数値で表現することができるWord2vecを用いることによって実現できた。例えば、大学というキーワードに対して、体育会、サークル、学習、就活というキーワードは、それぞれ0.485、0.442、0.264、0.260といった近似性として評価できる。授業においては、それぞれの学生にキーワードを提示させ、それらのキーワード間の近似性を数値的に評価することでグループを形成できる。②については、平成31年度に研究代表者が担当する授業を予定している。すでにグループ学習を取り入れた授業開発は完了しており、評価基準においてもHylable社が提供するDiscussion Assessment Serviceを利用することで実現できると考えている。③についてはすでにCanvasから生成されるCaliperで現状を確認しているが、グループ学習の方法や学習場所などのコンテキスト情報は、Caliperで生成するのではなく、別の方法で情報を生成することも視野にいれることを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる平成31年度は、春学期には中教室授業における実証実験、秋学期には大教室授業における実証実験を予定している。すでにLMSのCanvasとLTI連携する座席指定のシステムやグループ学習を評価するシステムの構築についても目途がついている。また、NetLearning社が提供するCaliperデータを生成するeLearningコンテンツや研究代表者が企業とともに開発したビデオ教材配信システムであるOATubeによるコンテンツも準備ができている。 以上の状況から、今後の研究の推進方針としては、課題提案時の研究計画通りに進めることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度3月に発生した国際会議および国内発表のための400,000円程度の旅費が、次年度に計上されることになった。また、設備品や旅費が予定より低い経費となり、Amazon Web Serviceは所属する機関が提供するクラウドを利用した。いずれも、予定していた物品や調査や報告のための出張は実施し、計画に支障をきたすことはなかった。
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