本研究では、一方向授業になりやすい100人を超える大規模授業でも、グループ学習によるアクティブラーニングを実現する支援システムを開発することを目的としている。初年度の2018年度は教員と学生が提示したキーワード間の距離をWord2Vecで計算し、その結果を用いたグループ形成システムの概念実証を行った。2019年度はグループディスカッション可視化システムを利用することにより、グループ構成と発話量の定量的評価を行った。2020年度はCOVID-19の影響を踏まえ、対面授業だけでなくオンライン授業にも対応するために、1EdTechの標準であるLTI 1.3を実装し、LMSからWeb会議システムとともに本システムを起動できる授業支援環境を構築した。2021年度は、初年度の概念実証を発展させ、学生と教員が提示したキーワード間のSimilarityをMatrixで表現することで、マッチング理論によるグループ形成で用いられる序数ではなく、数値で表現されるSimilarityによる新たなグループ形成のアルゴリズムを考案した。最終年度となる2022年度は、これまでの研究成果を反映したシステム構築を目指し、教員および学生から提示されたキーワード間のSimilarityから数値的にグループを形成するツールとして実装し、LTI 1.3をサポートするLMSと連携できるRESTアーキテクチャのシステムを構築した。さらに、Word2Vec用のデータに登録されていないキーワードが投稿された際にSimilarityが計算できなかった課題については、Large Language ModelのAPIにより解決できる可能性を示した。開発したシステムはGitHubにてソースコードを公開しており、同様のシステムを開発する際のリファレンスモデルあるいは授業におけるシステム開発実習のためのOERとしての活用が期待される。
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