本研究では、ネパール・カトマンズ盆地と甲府盆地を比較対象地域に選定して、山体地下水の広域流動の特性を水文学と水質学の観点で把握することを目的とし、両盆地における地下水の水素と酸素安定同位体の観測に基づく地下水流動の把握を実施した。同位体データの解析の結果、カトマンズ盆地における深井戸の地下水は主に雨季にもたらされる雨の涵養によるものと考えられた。カトマンズ盆地では北西部で特異的に低い同位体比値が観測される地域があり、甲府盆地においては西部において低い同位体比値が観測され、その他水質成分を含めた解析の結果、近隣の山体からの地下水涵養があるものと結論付けられた。
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