研究課題
DNA二本鎖切断(DSB)は、相同組換え経路(HR)と非相同末端連結経路(NHEJ)の大きく2つの経路で修復されることが知られる。DNA切断端での一本鎖DNAが露出 (DNA end resection)が、両経路の選択機構の最初のステップであると考えられている。 しかし、resectionが起こるきっかけについては不明である。研究代表者らは、転写がHRに重要であることを見出しており、DSB近傍での転写がresectionを促進している可能性が考えられる。本研究では、DSB周辺での転写活性化状態、もしくは、DNA-RNAハイブリッド構造を持つR-loopがresectionのきっかけになりうるかどうか、明らかにすることを目的としている。 DSB修復経路の選択機構は急速に解析が進んでいるが、いまだ明確な答えは出ていない。ゲノム編集技術や、DNA障害性抗癌剤の作用機序等を考える上でも、DSB修復機構の理解は重要となる。これまでの解析から、転写阻害剤がDNA複製効率自体に影響してしまうため、DNA複製を介したDSBに対する転写阻害剤を用いたHR経路の解析は、不適切であると考えられる。そこで、DNA損傷をDNA複製ストレスを伴わないDSBへと絞って解析を進め、放射線照射等と合わせて、laser microdissectionを用いた核内局所へのDSB誘導系の確立を試みた。またDSB集積因子で、抗resection因子である53BP1の局在に対する転写の影響についても解析を行なっており、53BP1の局在の変化が、転写を抑えることで亢進することを見出している。
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Oncogenesis
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41389-020-00244-4
https://kmu-bc1.jimdo.com/