研究課題/領域番号 |
18K11649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
大津山 彰 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10194218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪幹細胞 / ADSC / 放射線骨髄障害 / 再生医療 / 組織再生 / 幹細胞移植 |
研究成果の概要 |
X線被曝マウスに脂肪幹細胞を静脈移植し、骨髄移植と同様の放射線骨髄障害の回復が得られるかを検討した。6.5GyX線でC57BL/6メスマウスを全身被曝させ、同雄マウスの皮下脂肪織から得た脂肪幹細胞1X10^6個を静脈移植し、生存率の経時的動態を照射非移植マウスと比較検討した。また蛍光染色した脂肪幹細胞を移植し、経時的に主要臓器を摘出し組織観察と同時にDNAを抽出してPCRでオスマーカー遺伝子SSTY2の発現をみた。 移植群では照射後約20日で生存率が非移植群を30%上回り、脂肪幹細胞による放射線骨髄障害の回復が証明された。組織観察とPCRの結果から移植細胞は肺と脾臓に集積していることがわかった。
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自由記述の分野 |
放射線生物学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脂肪幹細胞は多能性幹細胞であり、多方面の再生医療の様々な組織の再生に用いられている。ただし、脂肪幹細胞に造血支持能力はあるが骨髄移植の代替になるという報告は無い。本研究の成果は、HLA適合や採集量が少ない等の問題がある骨髄細胞移植使用に対し、そのような制約が少ない脂肪幹細胞が、放射線急性骨髄障害を回復させうる能力があることを証明したことに学術的意義がある。また、社会的には事故原子炉の撤去など高線量被曝の可能性がある作業現場が長期にわたり存在する現状をふまえ、緊急被曝医療の一端として脂肪幹細胞の移植が、高線量被曝時の急性骨髄障害の忌避のために有効な手段となれば、社会的意義も大きいと考えている。
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