ミャンマーは2012年4月に固定相場制度を廃止して二重為替レート状態を解消したが、中国元の非公式な外為市場と米ドルの公式市場が並立している。本研究は、二つの為替市場が分断された非効率な状態にあるのかを検証した。日次為替レートの時系列分析からは、ミャンマーにおける中国元と米ドルの市場間で裁定条件が概ね成立し、市場の分断がないことが示唆された。一方、2021年の軍事クーデター以降、ミャンマーは再び制限的な貿易・為替制度を再導入たため、本研究では同国の過去の経済政策と経済成長の関係についての記述的分析と成長会計分析を行い、そうした制限的な政策が経済の展望を悪化させるとの見方を示した。
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