本研究は、瀬戸内芸術祭の訪問者に関する現地アンケート調査に基づいて、現代アート作品が本来備えている「異化効果」=「日常性に疑問を投げかけ、感情的同化ではなく日常性を批判的に観察させる効果」を中心に、芸術祭の訪問者がどのようにアート作品を評価するか、アート作品の訪問者に与えるアレゴリー効果を明らかにした。1)産業廃棄物の経験のある豊島調査では、窪地上の公園(コロガル公園)が多くの訪問者に産業廃棄問題を連想させた。また2)ハンセン病施設の島、大島での調査において、島の訪問前と訪問後に連想ネットワークを採取した結果から、ハンセン病問題理解の広がりと深化といった認知構造変化を確認することができた。
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