研究課題/領域番号 |
18K11960
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
宮田 圭介 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (40387527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達障害 / 特別支援教育 / 自動車 / 教習 / 免許 / デザイン / 教材 / 支援 |
研究実績の概要 |
令和元年度は,発達障害のある教習生向けに制作した学科試験用自習教材アプリについて,自動車教習所2か所の教習員の意見と要望を伺った.教習員の要望にすべて対応できる教材を制作することは困難であるため,用途に応じて修正できる汎用性のある教材に改良を行った.スマートフォンの画面に表示される質問・解答の表示フォームと操作ボタンの位置は固定した,Webサイトでの解答形式に変更した.この方法により,表示フォームを差し替えるだけで,教習生の特性に合わせて画面のデザインを容易に変更することができる.同時に,遠方にいる教習生のアプリの内容更新にも迅速に対応できる.また,仮免許試験の出題範囲をできるだけ絞った方が教材効果の検証が行いやすいので,道路標識の問題に限定して出題範囲を狭めている. 大学生の発達障害者(普通免許未取得者)1名に協力をお願いして,試作した教材の評価を行った.実験協力者は「広汎性発達障害」の診断を受けており,大学でも修学サポートを受けている.市販教材,試作教材を合わせて4種類の教習用教材アプリを使用して,SUS(System Usability Scale)による使いやすさの評価実験を行った.前回の健常者の大学生8名による評価実験では,ほぼ想定した通りの評価結果が得られていた.今回の実験では,実験協力者の項目別回答とSUS値に乖離が生じていた.SUSの各項目の質問文を平易にするなど特別な配慮が必要であった.実験方法の事前説明についても,口頭だけで説明するのではなく,視覚で確認できる資料を併用する必要があることが確認された.なお,「教材アプリと問題集冊子とどちらで学習したいか」と質問したところ,「どちらでもいい」との回答であった.今回の実験協力者に限定すると,使いやすい教材アプリの方向性は間違っていないことが推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発達障害者を対象として,わかりにくい用語や抽象表現をイラストで可視化することによる有効性確認が今回の研究の主目的であるが,イラスト表示用教材アプリの仕様変更と改良に予定よりも時間を要している.また,想定されていたことであるが,20歳前後の発達障害のある実験協力者を集めることに時間を要している.COVID-19の影響により,研究協力機関である自動車教習所との連携が中断している.
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により、研究協力機関の自動車教習所における実験スケジュールが立たない。代替措置として、大学近郊の自動車教習所の協力下で、試作教材アプリを用いて「教習生が理解しにくい語句や問題文の要因」と「道路標識の識別率が異なる要因」の分析を行い、問題文がより理解しやすくなるイラスト表現やアプリの表示画面の改良を行う。実験再開の目途が立ち次第、発達障害のある実験協力者による教材アプリの有効性評価実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材アプリの改良に時間を要したため,プログラミング費用の支出が少なかった.20歳前後の発達障害のある実験協力者を集めることが難しく,実験協力費を含む実験費用の支出が少なかった.COVID-19の影響により,研究協力機関である自動車教習所,および学会出張が中断したため,出張費が未発生になった.次年度は上記のプログラミング作業と評価実験,出張に予算を使用する計画である.
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