研究課題/領域番号 |
18K11960
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
宮田 圭介 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (40387527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達障害 / 運転 / 免許 / 成人 / 教習 / 標識 / ピクトグラム / 教材 |
研究実績の概要 |
発達障害者の自動車運転免許取得を対象として,自動車教習所での学科教習の理解を促す教材試作と実験を行い,使いやすい自習教材アプリの仕様は固まってきた.ただし,どのような出題内容が自主学習に求められるのか未検討であるため,令和2年度は,つまずきやすい試験問題について検討を行った.発達障害のある教習生も健常者も同じ問題を間違えやすい傾向があるため,道路標識問題に限定して正答率調査を行った. ソフトウェア企業が公開するWebサイトに掲載されている道路標識問題を利用して,企業の協力の下で正答率データの収集と分析を行った.2019年11月1日~2020年10月26日の約1年間で約45,000名の解答データを収集した.「警戒標識」「規制標識」「指示標識」に属する標識の意味を4択で回答する問題である.正答率75%未満の解答が91問中27問あり,標識のピクトグラムと意味の対応付けが一致しない要因の分析を行った. 正答率が70%未満である15の標識については,「限られた運転者しか必要のない標識」「似た意味の標識と間違えやすい標識」「シンボルと意味の対応付けが分かりにくい標識」に大別される.逆に,正答率が83.7%~84.7%になる15の標識は,抽象度の低い内容の標識が多く,シンボルがその意味を的確に表現しているので理解しやすいと考えられる.道路標識の認識しやすさの傾向は正答率に反映されていると推察される.シンボルと意味の対応付けが分かりにくい標識について,その理解を促す学習支援方法の検討が次年度の課題となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では研究協力機関の自動車教習所と連携して,発達障害のある教習生を対象に自習教材アプリの有効性評価実験を行う予定であった.しかし,COVID-19の感染拡大による出張制限や,自動車教習所の休校や入校制限のため,予定したすべての実験は中断せざるを得ない状況になった.
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により,研究協力機関の自動車教習所における実験再開の目途が立たない.代替措置として,新たな課題となった「シンボルと意味の対応付けが分かりにくい道路標識の理解を促す学習支援」方法の提案と健常者による有効性評価実験を行う.実験再開の目途が立ち次第,発達障害のある実験協力者による学習教材アプリの有効性評価実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響による研究協力機関の自動車教習所との実験中断のため,出張費は発生せず,教材アプリ改良費用も発生せず,実験協力者費用なども未発生となった.次年度は,実験が再開できれば実験実施経費として,再開の目途が立たなければ,代替措置の研究実施経費として使用する計画である.
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