本研究の成果は,複雑な病理学的メカニズムを考慮せず,巨視的な症状の進行の再現を比較的簡単な現象論的シミュレーションで達成できることを示した.また,変形状態の定義が困難な,撮影時期が異なる医用画像間で物質点を特定するためのマーカを合理的に配置する方法を提案したことで,今後の計算バイオメカニクスの応用範囲を広げる意義がある.臨床的には手術適応の判断が必要となる動脈瘤診断を助けるものである.適切な精度の予測シミュレーションにより必要な検診,CT撮影の間隔を長く撮ることが可能となり,患者と医療機関の負担を下げることができる.
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