研究課題/領域番号 |
18K12165
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研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
丹下 裕 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50435434)
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研究分担者 |
片山 英昭 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30280407)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 触地図ディスプレイ / 地図の情報抽出 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
令和1年度は,触地図情報によって可変する小型触地図システムを試作した. 本システムは,地図情報変換部と触地図部から構成される.触地図部は,市販点図セルを用いる予定であったが,デバッグ作業の容易さと費用の面から自作LEDアレイを製作することにした. 地図情報変換部の試作では,利用者の持つ携帯情報端末にアプリとして実装した.アプリは,携帯情報端末のGPS機能を利用して位置情報を取得し,位置情報に変化が生じる可能性があるため数秒間隔で更新する.位置情報に変化が生じた場合,携帯情報端末のアプリ画面を画像として抽出する.その後,必要な画像範囲をトリミングして二値化処理を加え,可動部のピン数(48×32)に合わせて分割を行う.分割処理では,1マス毎に80%以上白色ならば「1」,そうでなければ「0」に変換し,地図配列を生成する.本研究ではシステムを個別開発しているため,生成された地図配列の送信に関する実験は,ワンボードマイコン(Arduino)を用いた.実験より,携帯情報端末から地図配列が送信できており,地図配列の生成も問題なく行えた.アプリ画面右下には,拡大率の変更ボタンを配置した. 地図情報変換部で生成された地図配列は,UARTにて8ビットずつ触地図部のマイコン(MCU)に転送され,マイコン内部で1つの地図配列として再構築する.データ転送が終了した後,シリアル-パラレル変換モジュール群を通して可動部にパラレル出力を行う.出力実験では,パーソナルコンピュータとLEDアレイ(32ビット)を用いて1列分の地図配列の出力を行い,パラレル出力モジュールまでの動作を確認した.結果により,地図配列は正しく出力できた. 本研究と関連する視覚障害者の歩行支援として,上方向の障害物検出システムを構築し,頭上の障害物(壁や低い天井など)を検出できた.本システムと併用することを考えており,業績として挙げた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型触地図システムの試作において,触地図部に不具合が生じた.原因究明とその対策を検討するために時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は次の課題を実施する. 1.触地図情報によって可変する小型触地図システムの改良 小型触地図システムの試作において,次の不具合が生じているため,システムの改良を行うとともに完成を目指す.(1)MCUに搭載するプログラムに関して,シリアル-パラレル変換への出力関数内部にて,MOD_SIZEを28以上に設定した場合にマイコンの再起動が発生する.(2)シリアル-パラレル変換のすべての出力端子で電流量が一定でない不具合がある.(3)自作USB-UART変換に関して,Androidスマートフォン用のMCP2221Aのドライバが提供されていないため,地図情報変換部との通信が実現できない. 2.地図アプリの操作性の向上 視覚障害者の利用に特化した触地図アプリを制作する.具体的には,スクリーンリーダを利用し,行先,目的地の入力による道順検索やよく使う道順の登録等の機能を実装する.表示する触地図情報については個別設定ができるようにし,視覚障害者のニーズよって地図情報の表示を選択できるものとする. 3.触地図情報を配信する電子マップサーバの構築 本システムでは,携帯情報端末の位置情報付きの地図情報を画像として取得し,携帯情報端末のメール機能を使い,触地図サーバに送信する.この画像を解析することで触地図を生成し,位置情報を参照して触地図配信用サーバの電子マップ上に触地図を配置する.利用者は,配信された電子マップの触地図情報を携帯情報端末で参照し,それと連動した触地図ディスプレイにより周囲の地図情報を把握できる.令和2年度は,前年度の成果である地図情報を点図で表すためのプログラムをサーバ上で動作させ,携帯情報端末の位置情報付きの地図情報をサーバに送信した際に,触地図情報が得られることを確認する.また,全体システムの運用実験も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:市販されている点字セルを物品費で購入予定であったが,想定外の金額であったため購入できないと判断したため残金が生じた.したがって,本研究ではデバッグ作業の容易なLEDに代替して,提案するシステムを構築する.
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