研究課題/領域番号 |
18K12191
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石田 隆太 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(PD) (10814585)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 天使論 / 種(species) / 個 |
研究実績の概要 |
1、13世紀後半の天使論を理論的に整備するための作業として、(1)ボナヴェントゥラ、トマス・アクィナスという二人のスコラ学者に関して、天使の種が一つか複数かという議論を哲学史的な観点から分析した。この分析は主に二つの観点から実施された。一つは、個体化という哲学史的に重要な概念に注目した上で、両者のスコラ的な議論を哲学的な仕方で再構成することである。もう一つは、天使の種に関して論じている両者のテクストを詳細に読解しながら、当時のスコラ学者自身が前提としていた枠組みを整理することである。この二つの作業により、第一に、天使の種に関する両者の存在論的な前提を抽出することができた。第二に、こうした哲学的な議論を当時の歴史的な文脈の中に位置づけることができた。(1)がより大きな見取り図を得ることを目的としていたのに対して、より個別的には、(2)トマス・アクィナスの天使論に焦点を当てて、種が個であるという種の個体説を以上の(1)から得た知見の下に再検討した。(3)天使論の近世における展開を見定めるために、西洋近世のスコラ学者フランシスコ・スアレスの天使論に焦点を当てて、天使の種に関する彼の思想的立場を分析するとともに、以上の(1)から得た知見と突き合せる作業を行った。 2、翻訳研究としては、(1)ドゥンス・スコトゥス著『オルディナティオ』第二巻第三区分第一部第七問題の翻訳研究と、(2)トマス・アクィナス著『「魂について」註解』第三巻第一章および第二章の翻訳研究を進め、大学紀要にその成果を発表した。これは本邦初訳である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画においては、13世紀後半の天使論を理論的に整備すること(上記「研究実績の概要」の1の(1)(2)の対応)を予定していた。このことに関しては一定の成果をあげることができた。さらに、上記の「研究実績の概要における」1の(3)、2の(1)(2)の研究を行うことができた。よって、全体として研究の進捗状況がおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降の研究に支障がない範囲で、天使論の存在論的な側面のみならず、認識論的な側面や倫理学的な側面により特化した作業を組み込んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年11月から2019年3月まで在外研究に従事したため、当該期間に予定していた書籍購入のための物品費および出張のための旅費の分が次年度使用額として生じた。 次年度においては、次年度使用額として生じた金額を含めて、全体の半分ほどを物品費として計上し、全体の約三分の一を旅費、残りをその他として使用する予定である。
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