本研究の目的は、ヘイト・スピーチを中心とする、市民社会において不信と断絶を生む言語活動を、言語哲学とその関連分野の研究手法を用いて分析し、理解を与えることである。最初に、差別的語彙や特徴的な構文など、表現そのものの分析を進めた。得られた知見の一つは、そうした表現は、話者が意識的に把握できない、社会的含意をともなう複雑な意味内容持っているということである。その後、オンライン上も含め、そうした表現が実際に使用される場面を検討した。特に、SNS上での有害な投稿を吟味し、それらを自動的に検出するような技術の可能性を探った。
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