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2019 年度 実施状況報告書

ビザンティン美術「聖母の眠り」図の辺境における展開と装飾プログラム論について

研究課題

研究課題/領域番号 18K12245
研究機関早稲田大学

研究代表者

武田 一文  早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (90801796)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードビザンティン美術史 / キリスト教図像学 / 「聖母の眠り」図像学
研究実績の概要

前年度より引き続き、フィールドワークによる資料収集を行った。夏期にトルコ、カッパドキアにおいて岩窟聖堂を集中的に調査した。本調査により、過去に行った調査を含め十五の「聖母の眠り」図像を現地で確認できた。うち過半数は未だ写真資料は出版されていないものであり、現在その報告として論文を執筆、投稿した段階である。カッパドキアの聖堂はその多くが同地域に特徴的な「キノコ岩」地形や断崖に点在し、未発見、あるいは報告が十分でない聖堂が数限りない。筆者の研究は「眠り」図という軸をもとにカッパドキア研究の展開の一助となっているものと考える。新たに確認した聖堂として興味深いものはナール地区オレン・キリセであり、広範囲に剥落が見られるもののカッパドキアの「眠り」に見られる古い定型を示すことが確認でき、また聖堂内で比較的重要な広く、高い壁面を与えられていたことが注目される。ソーアンル地区28番聖堂は2015年に報告された聖堂だが、「眠り」図があるとの情報はあったものの剥落が著しく、写真での判断は困難であった。現地で詳細に確認することにより、「眠り」図であると確信するに至った。オルタキョイ地区聖ゲオルギオス聖堂は扉口と「最後の審判」図に隣接する点が、筆者がギリシア、パナギア・マヴリオティッサ聖堂で検討した装飾プログラムの構造と類似しており、同様のアプローチが可能か更に研究を重ねたい。調査によって得た「眠り」図の知見をもとに、19年6月に早稲田大学美術史学会で研究発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の基礎となるフィールドワークは、現地ガイドや同地域を研究対象とする本邦の研究者との共同作業が円滑に実施できたこともあり順調に成果を上げている。現地博物館の保存方針や出版予定に伴い「聖母の眠り」図の写真撮影が実施できていない聖堂が2、3あるが、これについては早期の出版を待ちつつ現地との折衝を続けたい。前項で述べた通り調査結果は学会発表、論文として発表を行っている。なお20年3月にイタリアの聖堂及び美術館での作品調査を行ったが、コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンが渡欧直後に実施されたため、調査を完遂するには至らなかった。

今後の研究の推進方策

引き続きフィールドワークを実施し、資料収集を進めながら論文を執筆する。カッパドキアにおいて未調査の地区が複数あるため、本年度もカッパドキアを調査地とする予定である。なお本報告現在海外渡航が強く制限されており、例年夏期に実施していた調査は不可能と思われる。従って冬期に実施することを予定するが、情勢によっては翌年度への延長申請も検討するものとする。

次年度使用額が生じた理由

2020年3月に実施した海外調査の際に文献購入に充てる予定であったが、コロナウイルス流行に伴うロックダウンが実施されたため店舗が閉鎖、購入が不可能となった。次年度の調査時、文献購入に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 「ポロシュキ修道院主聖堂(北マケドニア)における「聖母の眠り」図像の特殊性について」2019

    • 著者名/発表者名
      武田 一文
    • 学会等名
      早稲田大学美術史学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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