研究課題/領域番号 |
18K12382
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
佐治 伸郎 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (50725976)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 言語習得 / 発達心理学 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
2019年度は,2018年度に実施した他者と情報を共有している場面(共有場面)とそうでない場面(非共有場面)において,大人と子どもがどのようにジェスチャーや比喩表現を使い分けるかについて分析を進めた.この結果,子どもと大人では,ジェスチャーや比喩を使って対象を表そうとする際,他者志向性/自己志向性の程度が異なることが明らかになった.また,ジェスチャーや比喩の産出に伴い,言語による言い分けも,大きく変化する可能性が示唆された.この内容は現在論文執筆を完了し論文誌に投稿中である.また,2019年度は,2018年度までに得られた子どもの言葉の使い分けに関する実験研究の結果を,ドイツの教育心理学/実験心理学の合同学会であるpaEpsy2019での招待講演という形で発表し,大きく議論を深めた.更にこの内容は論文としてまとめられ,認知科学における国際誌であるCognitive Science誌に投稿,受理された.更にこれまでの結果を総括し,研究成果を理論的な観点からまとめた書籍「信号・記号・言語へ:コミュニケーションが紡ぐ意味の体系」を発刊した. 2019年度からの新たな実験データとしては,他者と情報を共有しているか/していないかが言語の使い分けに与える影響をより詳細に見るために,これらの状況が指示詞(e.g., 「あれ」「これ」)に与える効果を見る実験を行った.この結果については現在分析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで予定されたデータは順調に習得されており,データ分析も順調に進んでいる.当初の研究計画のうち1)に関してはデータ分析・収集及びその成果の一部については論文執筆まで進んでいる.また,研究成果をまとめた書籍も出版され,おおむね順調に推移している.一方2)についてはこれからデータを収集する必要があるが,新型コロナウィルス感染症の影響からデータ収集スケジュールに変更が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,新型コロナウィルス感染症のため実験データの収集がが難しくなることが予想される.このため研究方針をこれまで収集したデータの再分析へと変更する必要がある.現在,1)2018-2019年度に収集された子ども-子どもコミュニケーションにおけるジェスチャー,比喩,言語表現の分析をより詳細に行う,2)既に収集されている子どもの擬音語表現データの多言語比較分析を軸に据え,論文執筆,投稿を予定している. また,予定されていた複数の学会発表も中止,またはオンライン参加という形になるため,予算執行には変更が生じる可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度データ分析用コンピュータを購入予定であったが,2月以降コンピュータの供給が減少し品薄となったため,次年度に購入することとした.このために次年度使用額が生じた.
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