本研究は方言を反映する文献と,フィールドワークによって,方言の歴史を再構築することを目的とする。特に鹿児島方言を中心に,ゴンザのロシア資料や近現代の方言談話,現代の方言話者への調査を行ない,テンス・アスペクト・ムード(意志や推量)や主語や目的語の格標示,準体助詞(現代共通語の「食べるのが遅い」の「の」にあたるもの)について調査・分析し,それぞれのカテゴリの歴史について論じた。また九州方言の特徴的な機能についての記述も行なった。形容詞の重複形や形容詞語幹+サニという形式について,その形態的特徴や意味的特徴について報告した。さらにロシア資料の受容や,ロシア資料に関する著作についての論評も行なった。
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