本研究では、二重比較構文を含む各比較構文の発達は、Mustanoja (1960)とKytö and Romaine (1997)により提案された分析を仮定することで理論的に解明できると主張した。特に、二重比較の出現については、英語史において総合的言語から分析的言語への潮流に従って迂言比較の生起頻度が高まっていく中で二重比較構文も周辺的ではあるが容認されるようになった可能性が示唆される。また、二重比較構文の消失の要因については、屈折比較と迂言比較との間の機能的分業化の流れと,前述の一方向性の変化との相互作用であると、コーパス調査結果及び先行研究における分析などを援用し特定した。
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