研究課題/領域番号 |
18K12508
|
研究機関 | 小田原短期大学 |
研究代表者 |
三枝 まり 小田原短期大学, その他部局等, 専任講師 (10584211)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 近衞秀麿 / 西洋音楽受容 / 近代日本史 / アーカイヴ / 文化交流 / 自筆譜 / ドイツ / 音楽史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、海外に点在する近衞秀麿関連資料の調査と、近衞音楽研究所所蔵資料の整備を通して、近代日本音楽史や日本の文化交流において近衞秀麿が果たした役割を解明することである。令和2年度は主に以下のトピックについて研究を進めた。1.海外に残る近衞秀麿に関連する資料の調査、収集:ドイツ連邦公文書館に所蔵された独日協会やドイツ赤十字社主催演奏会関係の資料について、書簡、メモ、手紙、新聞切り抜きなどの資料の種別、年月日、タイトルや地名、内容などの点で入力を進めた。その結果、少なくとも1943年以降、近衞秀麿のドイツでの演奏活動が制限されていた様子が分かってきた。また、近衞秀麿が出演した戦前の海外放送の録音がアメリカにあることが明らかになった。2.国内資料の収集および資料のデジタル化の推進:今年度は近衞秀麿が作曲した《愛媛県民の歌》、《延岡高等学校校歌》などの楽譜資料のコピーを新たに入手し、デジタル画像化した。また、劣化したオープンテープ5点に記録された近衞秀麿の録音物を外部機関(キング・インターナショナル)に委託し、デジタル化を完了した。3.データベースの更新:2018年から2020年の間に新たに収集した資料について、データベースを更新した。このデータベースに基づいて、学校関係機関(1件)、国内外の研究者(海外1件、国内1件)、演奏家(2件)、メディア(新聞2件、レコード会社1件)等の問い合わせに対応し、情報の交換を行うとともに、遺族の許可を得た上で資料を提供した。その結果、法制史料研究者の伊能秀明氏を通して新聞記事の連載が企画された。また、近衞秀麿の初期の作曲作品である《アンダンテ》(1917)(武蔵野音楽大学所蔵)が、ピアニストの奥浦博子氏によって旧東京音楽学校奏楽堂にて2020年10月に本邦初演された。4.近衞秀麿の手形帖出版の準備:昨年度から継続。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延と感染予防に伴う移動の制限、および各方面からの問い合わせ対応で、近衞音楽研究所における資料の入力作業が遅れているため。
|
今後の研究の推進方策 |
近衞秀麿と交流のあった音楽家の手形集の解説について、研究成果を国内外に広く伝えるため、英訳を進める。また、海外に残る資料については、引き続き効率的な方法によりデータ入力を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、予定していた旅費及び謝金を執行できなかったため次年度使用額が生じた。今年度においては、調査研究員(アルバイト)への謝金、英訳謝金、印刷等論文執筆に関する経費、消耗品の購入により支出することを計画している。
|