研究課題/領域番号 |
18K12520
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
辻 大和 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (50632303)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 朝鮮王朝 / 東アジア / 貿易 / 清朝 / 地理書 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は18世紀朝鮮における対清貿易の変容を探ることであるが、平成30年度は日本国内での公刊資料調査と韓国での未公刊資料調査を進め、国際シンポジウム等で成果を発表した。 (1)国内での公刊資料調査として、朝鮮と清の年代記資料中の関係記事の収集・分析を行った。朝鮮側は『朝鮮王朝実録』、『備辺司謄録』等の年代記資料のほか、購入した『同文彙考』活字本のなかから貿易関係記事を採集した。清側は『清実録』および本年度購入した『大清五朝会典』のなかから貿易関係記事を採集した。また日本における隣接地域の17~19世紀の貿易史研究の二次文献も収集を進め、世界史的意義からみた18世紀東アジア貿易についての意義について探求した。 (2)韓国での未公刊資料調査として、11月に韓国で調査を行った。調査地は朝鮮の文書資料を多く所蔵する国立中央図書館、ソウル大学校奎章閣であった。朝鮮清間の国境地帯に関係する資料を中心に調査した。 (3)こうした研究の成果をもとに、「朝鮮王朝からみた17 世紀初頭の「朝貢」と「互市」 」として国際ワークショップ「越境する東アジア:16世紀後半―17世紀前半を中心に」(2019年12月22日、許南麟 (The University of British Columbia)企画、一橋大学開催)と「朝鮮与清朝間地理書交流〔朝鮮と清朝の地理書交流〕」としてシンポジウム『全球視野中的明清鼎革〔グローバルな視野のなかの明清交替〕』( 2018年11月25日 復旦大学文史研究院)において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初計画では今年度は国内の公刊資料調査を行うとしたが、実際に朝鮮と清の年代記資料中の関係記事の収集分析を行うことができ、購入した『大清五朝会典』のなかから関係記事を収集することができた。 また年度当初に韓国での未公刊資料調査を計画したが、11月に実施することができた。 はやめに成果発表をすることができたが、まだ概略の段階であり、論文発表の時期がはやまったわけではない。
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今後の研究の推進方策 |
令和1年度は前年度の公刊資料調査につづき台湾・中国での未公刊資料調査を行い、18世紀朝鮮と清朝の間国境地帯で行われた開市貿易の変容(特に関税)について分析を深め、学会発表を行う。(1)台湾・中国での未公刊資料調査として、台北、北京で調査を行う予定である。台北では清朝の公文書を所蔵する中央研究院歴史語言研究所および国立故宮博物院図書文献館、北京では同じく清朝の公文書を所蔵する中国第一歴史档案館において調査を行う。(2)開市の変容についての整理として、開市貿易の変容(特に関税)について情報を集約し、そのプロセスを明らかにする。(3)学会発表は秋以降に開かれる学会において、前述の開市変容について口頭発表を行い、学会誌に論文を投稿する。 令和2年度以降についても今のところ計画変更予定はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画した韓国出張計画が、資料デジタル化の進展の恩恵で、予定より短期間で済んだため、経費の節約を行うことができ、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は次年度の旅費等に充当する。
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