研究課題/領域番号 |
18K12520
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
辻 大和 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (50632303)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 朝鮮王朝 / 東アジア / 貿易 / 清朝 / 地理書 / 国境 / 国境 |
研究実績の概要 |
令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大による国内移動の自粛、海外渡航の制限により、当初予定していた研究小課題の実施(清向けの銀輸出)は先送りせざるを得ず、これまで収集していた史料にもとづいて研究を深めた。 その結果、今年度は前年度に取り組みが遅れていた、中朝貿易における管理の変容問題について分析を深めた。貿易において、貿易品によって中国側の管理の仕方が異なる事例として、史書の事例について検討を加えた。そのうち、明の地理書『大明一統志』の輸入が、明代に朝鮮にどのようにして行われたのか、それが清代に入ってどのように変化し18世紀を迎えたのかということについて整理し、学習院大学東洋文化研究所のミニシンポジウム「ミニシンポジウム「『一統志』研究の現在」において、「朝鮮燕行使の『大明一統志』輸入について」として口頭発表した。この発表は間もなく『アジア遊学』誌に掲載される予定である。 そのほか、人蔘の栽培開始についての研究の準備として、朝鮮よりも先行して栽培が本格化した近世日本の事例を調べ、京都大学東南アジア地域研究研究所共同利用・共同研究拠点「地域情報資源の共有化と相関型地域研究の推進拠点」(CIRAS)のディスカッションペーパー103号に「江戸時代の諸国産物帳にみる薬用人蔘(オタネニンジン)の分布 ─仙台藩と土佐藩を中心に」を発表した。 そして当研究テーマに関するアウトリーチ活動として、横浜国立大学都市科学部編 『都市科学事典』(春風社)に「2-2-9東北アジアの都市と国境」を発表した。 研究期間に取り組むはずであった、清向けの銀輸出には、移動制限による資料収集の遅れにより、十分に取り組むことができなかったため、研究計画には遅延が生じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は計画段階では清向けの銀輸出の問題に取り組むはずであったが、移動の制限により資料収集が進まず、先送りをせざるを得なかった。一方で前年度積み残しとなっていた貿易管理の変容については大きく前進させることができ、人蔘栽培の問題についても準備に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、(1)開市変容についての論文を掲載する。(2)朝鮮における人蔘栽培問題に着手する。 なお海外への渡航制限により、銀輸出に関する資料収集および学会発表に大きく影響を受けており、計画の延期を行う可能性が高い。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限により、旅費を用いた海外での史料調査、学会発表を行うことができなかった。次年度に渡航可能になれば、史料調査など旅費を用いた研究活動を行う計画である。
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