本研究課題は、青海地方のチベット仏教寺院が明清時代の中国やモンゴル高原にまたがる広範な東北アジア地域においていかにネットワークを形成し、どのように機能していたかに着目するものである。 成果としては、まず明清期中国の青海チベットに対する施策の連続面と断絶面を明らかにした。明代からの朝貢関係を下敷きとした青海寺院との関係においては、形式的には多くの要素を明代から継承しつつ、中央チベットやモンゴルへの影響力を恃める人材を確保しようとした。また、本研究では清代南モンゴルのチベット仏教都市フフホトと青海僧・寺院とのネットワーク形成について、16・17世紀のチベット仏教浸透の経緯とともに位置付けた。
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