本研究は、ドイツ法およびオーストリア法の分析を踏まえて、共犯従属性原理について分析を加えた。まず、「正犯が違法でなければ共犯も違法でない」という違法性の連帯性が認められる実質的な根拠は、共犯者が適法な正犯行為に関与し、違法性阻却を基礎づける優越的利益を正犯者を介して間接的に実現することによって、その優越的利益実現が共犯者にも因果的に帰属されるという点に求められる。また、いわゆる罪名従属性の問題については、共犯者間で故意が一致しない場合には、故意の一致する限度で共犯者の処罰を認めるのではなく、共犯者の故意に応じて個別的に犯罪の成立を認めるべきことを明らかにした。
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