本研究は、基地政治研究(Base Politics)の発展に貢献した。米国の海外基地はある時点において戦略上、不要とされていたものが「長命」となり、それとは逆に重要とされていたものが「短命」に終わることがある。このことは、従来の基地政治モデル、すなわち設置国の戦略や予算制約、あるいは接受国側の政治的受容性に対する認識に着目するだけでは説明できない。当初は明確な目標をもたず、またごく小さな基地として誕生したとしても、一定の条件の下ではそれは時間の経過とともに成長し、他の基地との相互作用を繰り返しながら当初の目的を上書きしつつ、あるものは環境に適した機能を備えていくのである。
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