本研究は中心市街地活性化政策の効果を評価し,社会的に望ましくシンプルで実行可能性の高い対象地域の選定ルールを提示した.選定ルールは人口統計や企業間取引ネットワークなどの地域の属性に基づいて定めた.政策は地価と個人所得税収への全体的な効果はもたらさなかった.小売売場面積,可住地面積あたり小売売上及び小売従業者数には平均的にみて正の効果をもたらしたが,効果は地域によって異なる部分が大きく,本研究で提示した選定ルールを用いればより大きな効果を達成できる.また,最も効果的な選定ルールはターゲットとする経済変数によって異なるため,単一のルールで複数の目標を同時に達成することは困難であることが示された.
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