本研究課題の目的は複数格付の役割を実証的に検証することである。第1に、本研究では投資適格格付と不適格の区分と利益マネジメントの関連性とその影響を調査した。検証の結果、BBB-とBB+を付与されている企業は、実体的利益マネジメントを実施していることが明らかになった。また、格付機関は単一格付の企業に比べ、複数格付が付与されている企業の利益マネジメントを格付評価において割り引いて評価していることがわかった。第2に、IFRS適用に着目し、複数格付が格付関連性にどのような影響を与えるのかを検証している。検証の結果、IFRS適用後に複数格付を有している企業は格付関連性が向上していることが明らかになった。
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