本研究は、企業の業績評価方法の開示が企業にとって最適かどうか、また社会にとって良い結果をもたらすかを分析している。したがって、本研究の分析結果は、ケースごとに合わせた企業の最適な意思決定に関する示唆を与えるといえる。また、それだけでなく、市場や企業が直面する状況に応じて、経営者の業績評価方法を開示することが社会にとっては最適でないことを示している。そのため、一方的に経営者の業績評価方法を開示する法改正を行なうことが、必ずしも社会にとって良い成果をもたらすとは限らないことを示唆している。以上から、企業の意思決定だけでなく、企業の開示情報に関する規制を議論している点で社会的な意義があるといえる。
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