研究課題/領域番号 |
18K12945
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
大日 義晴 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (00732968)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 里親 / 家庭養育 / 社会的養護 / 家族認知 / 里親子関係 / サポート・ネットワーク / 初婚継続家族 / 養育里親 |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、現代の養育里親家庭における、里親と里子との関係構造や意識の実態把握であった。具体的には、「養育里親の登録・研修・支援に関する調査」データを用いて、里親子関係の質を複数の項目で捉えるとともに、それらの関係の質に影響を与える要因について明らかにする。なお里親子関係の時期は、①現時点で受託中の時期と、②受託終了後の時期の、二つを対象としている。 1年目である今年度は、まずは、収集された質問紙調査のデータの確認作業をおこなった。とりわけデータの代表性を検証するために、公開されている既存の養育里親に関する全数調査データとの比較をおこなった。結果を要約すると、今回の調査データは、全数調査の全体的な傾向に極めて近似していることが分かった。 また、分析課題の一つである、現時点で委託中のケースに限定した、里親子関係の様相把握とその規定要因についての分析の検証を進めた。記述統計量を確認しつつ、一部項目については、第3回全国家族調査(NFRJ08)データを用いて、初婚継続家族の親子関係との比較をおこなった。分析から、受託中の相互作用やペアレンティングについては、初婚継続家庭とほとんど差が無いことが分かった。さらに、養育里親が、受託中の子どもおよび措置解除後の子どもを、どの程度家族メンバーとして認識しているかについて、検証をおこなった。分析から、少なくとも受託中は大多数の養育里親が、子どもを家族の一員であるとみなしているが、措置解除後に家族とみなす比率は大きく低下していることがわかった。 また、平行して、里親子関係に関する国内外の先行研究の体系的整理をおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、収集されたデータの記述統計量の確認と基礎的分析が大きな目標であり、現時点でこの目標は達成できているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年は2年計画の最終年度に相当するため、データ分析および論文としてまとめていく作業を中心として研究を進めていきたい。また、当初の研究計画には含めていなかったが、養育里親のサポートネットワークの構造についても、追加的に検証をおこなう予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定所要額より、翻訳に係る費用等が安く済んだため、次年度使用額が生じた。本年度、文献等の購入および分野研究者との研究会参加等で使用することを予定している。
|