研究課題/領域番号 |
18K13062
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
本山 敬祐 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50737640)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フリースクール / 運営費補助 / 監査 / 教育機会確保法 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、これまで実施してきた調査の中断を余儀なくされ、新規の調査も叶わなかった。2020年度の成果は、2018年度から行ってきたフリ―スクール等に対する運営費補助を行う自治体を対象とした事例調査を査読付き論文として公表したことである。教育再生実行会議第五次提言にみるフリースクールへの公費負担の在り方に関する議論は、2019年6月に公表された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の施行状況に関する議論のとりまとめ」においても具体的な検討には至らなかった。この現状を踏まえ、今後の制度設計に資する基礎的な知見を得るために、教育機会確保法成立以前からフリースクールに対する運営費を補助している自治体として福岡県、鳥取県、札幌市の3自治体を抽出し、各地の取組を分析した。調査から得られた主な知見は以下の通りである。
(1)各地の補助要項を比較し、補助要件となるフリースクールには、学校との連携に加えて、任意団体としての活動を含む一定期間の実績が求められている。とりわけ鳥取県では補助事業の申請にあたり県教育委員会からの認定を受けることが条件となっており、教育行政による一定の質保証が確認された。(2)補助金の交付に伴い所管部署が行う監査は補助金の使途に限ったものであり、フリースクールが行う支援活動の内容に対する干渉は確認されない。(3)教育機会確保法施行後に、補助事業に係る予算増額や補助対象の拡充が確認された。これは各地でフリースクールとの対話やフリースクールからの要望に応答してきた結果である。
今後は、公費補助に値するフリースクールに求められる条件をはじめとして、公費補助を維持するために求められる行政の関与の在り方や、フリースクールに支援における首長部局と教育行政の関係についてさらに検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大により、本研究課題の遂行が中断を余儀なくされたため。
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今後の研究の推進方策 |
長期的な追跡調査を計画していた本研究課題において、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた調査方法を再検討する必要がある。具体的には、聞き取り調査を対面ではなくオンラインで実施する、あるいは、聞き取り調査を質問紙調査に変更するなどを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国内調査が中断となったため、余計な支出を抑えるために次年度に繰り越した。今後はオンラインでの聞き取り調査に必要な備品の購入や質問紙調査に変更した場合の印刷費や郵送料として使用する予定である。
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