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2021 年度 実施状況報告書

不登校児童生徒を対象とする「多様な教育機会」に関する組織論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K13062
研究機関岩手大学

研究代表者

本山 敬祐  岩手大学, 教育学部, 准教授 (50737640)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードフリースクール / 公費助成 / 不登校特例校
研究実績の概要

本年度の主な実績として、「教育機会確保法」の成立以前より運営費を含むフリ―スクールに対する公費助成を行っている自治体を対象とした比較研究の成果の公表があげられる。福岡県・鳥取県・札幌市を事例として、補助要項の比較をはじめ、開示請求によって入手した予算執行状況の推移、各地で公費補助を受けているフリースクールや自治体職員に対するインタビュー調査を通じた比較を行った。
本調査の結果、フリースクールに対する補助事業は教育行政ではなく首長部局が主体となっていることが共通している。ただし、鳥取県では補助事業の申請にあたり鳥取県教育委員会からの認証を受ける必要があり、補助事業の運営にあたり首長部局と教育行政の連携が指摘できる。補助要項を比較したところ、自治体間の相互参照も確認されたが、補助対象に法人格をもたない個人を含むか否かといった補助対象となる団体の条件をはじめ、各地で差異が見受けられた。また、補助金が交付されているフリースクールに対する監査では、補助金交付に伴いフリースクールでの活動内容に対する統制が働いている様子は確認できなかった。むしろ、監査の場で行政職員がフリースクールからの要望を聞き取り、事業の改善・拡充に務めていることが指摘された。
「教育機会確保法」の施行を契機としてフリースクールに対する公費助成の在り方が各地で検討されるなか、同法の施行以前から導入されてきた事例を踏まえた制度設計の基礎資料として本研究の成果が位置づく。
また、本研究の中でもう一つの柱となる政府部門内の教育機会の多様化に関しては、不登校特例校での勤務経験者を対象とした調査を実施するにあたり、京都市の教員人事異動の記録を作成し、調査対象者を特定した。
2022年度は、本年度の調査を継続するとともに、京都市を事例として不登校特例校での勤務経験の影響について聞き取りを行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症への対応に伴い、昨年度に引き続き現地での聞き取りが困難となり、本研究課題の遂行が遅れている。2022年度はオンラインでの聞き取りに切り替える等、調査方法を見直して効率的・効果的な調査を遂行する。

今後の研究の推進方策

行政とフリースクールとの連携に関して、公費補助を巡る各地の動向を注視するとともに、自治体職員を対象とした調査を予定している。また、「教育機会確保法」の施行後に各地で新設されている不登校特例校に関して、勤務経験者の異動先での波及効果等について聞き取り調査を実施し、不登校児童生徒に対する教育機会の保障以外に不登校特例校の設置の意義について明らかにする。
また、上記の調査と並行して「教育機会確保法」の施行を機に生じている不登校児童生徒への支援に関する官民の関係性の変化および公立学校制度内の多様化をとらえる分析枠組みの理論的検討をすすめる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症対策により、出張を伴う聞き取り調査等が実施できなかったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 不登校児童生徒を支援するフリースクールに対する財政支援の可能性―教育機会確保法成立以前より実施されてきた国内先進事例の比較分析―2021

    • 著者名/発表者名
      本山敬祐
    • 雑誌名

      東北教育学会研究紀要

      巻: 24 ページ: 43-56

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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