研究課題/領域番号 |
18K13139
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研究機関 | 静岡産業大学 |
研究代表者 |
香村 恵介 静岡産業大学, 経営学部(磐田), 講師 (80735481)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幼児 / 身体活動 / 座位行動 / 加速度計 / 行動観察 / 活動パターン |
研究実績の概要 |
身体活動のガイドラインでは,これまで腕や腰に装着した加速度センサーのデータを用いて,加速度の大きさに応じて強度別の身体活動量を推定し,例えば「1 日60 分以上の中強度以上の身体活動をしましょう」などといったメッセージとして公表してきた.しかし,行動変容を促すためには,量の視点に加えて,活動パターンなどの質に着目した介入を行っていく必要がある. 今年度は活動パターンを判別するために,本実験での構造化活動を計画するための予備的観察として,1-2歳児の日常生活中に出現する動作を調査した.2歳児の室内での動作を2時間,屋外の公園での動作を2時間観察し,出現した動きとその時間を記録した.その結果,室内で最も多く観察されたのは,スクリーンメディアを見る,絵本を読む,おもちゃで遊ぶといった「座位」の時間であった.次に,歩く,立つといった「立位」,「歩・走行」の時間が多く観察された.屋外では,室内よりも「歩・走行」の時間が増えた一方,移動の際に抱っこされたり,ベビーカーに乗る時間も増え,屋外にいた時間の8%を占めた. 次年度は,構造化活動を実施するにあたり,屋内でも屋外でも出現する動きを取り入れながら行う.そのために,毎日,1-2歳児が多数来所する屋内での運動に特化した支援施設に研究協力の依頼をし,協力の同意を得た.また,活動パターンの分析方法として,最近では,高齢者が杖などの補助具を使用して歩いていたのか,それとも,自立歩行していたのかを,活動量計の加速度データ(X 軸,Y 軸,Z 軸)から機械学習を使って判別しようとした研究も見られる.このような研究手法を本研究に取り入れるために,山梨大学理工学部の研究室に協力依頼を行い,内諾を得ている.ただし,新型コロナウイルスの影響を受け,調整が遅れている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
近年の研究の進展によって,活動パターンの解析に人工知能の技術を用いた研究手法を取り入れているものが見られるようになった.本研究で当初予定していた方法よりも,より効果的に行動を判別できる可能性のある方法が出現してきたことにより,その手法を取り入れるための環境づくりに時間をかけた.機械学習などの人口知能の技術を取り入れていくには,専門的な知識を有する研究室に協力を仰ぐ必要がある.今年度,山梨大学理工学部の研究室に研究協力の依頼をし,内諾を得た.しかし,3月からのコロナ禍の影響を受け,研究室内での調整が滞っている.また,測定を予定している静岡県内の全天候型の屋内遊び場を有する支援施設も営業を停止したり,県外への移動の制限から調整が難航した.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響を受けて研究が遅れていることから,研究機関を1年延長する予定としている.今年度は研究協力の同意を得ている支援施設において測定を実施し,その結果を機械学習などの新たな手法を取り入れながら解析する.社会状況にもよるが,年内には測定を終える予定で調整している.研究期間を延長した翌年度には,分析結果をまとめ,関連学会や論文等で公表していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で実験の調整が遅れ,年度中に本実験が実施できなかった.そのため,対象者への謝金や分析補助者への謝金として使用を計画していた費用を使用することができなかった.また,国際学会への参加も不可となり,旅費も支出しなかった. 翌年度は本測定を行うことから,対象者への謝金や分析補助者への謝金として使用していく.研究発表に関しては,学会の中止やオンライン発表の状況が続くため,旅費を使用するかは不明だが,研究期間を1年延長するため,使用をさらに持ち越す可能性もある.
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