研究課題/領域番号 |
18K13221
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横田 晋務 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (70734797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 潜在的態度 / fMRI |
研究実績の概要 |
高等教育機関に在籍する発達障害学生は近年増加傾向にあり、本研究で対象とするASDは、社会性の障害や実行機能の困難さにより、大学等の高等教育機関において、合理的配慮を受けながら修学を継続するケースがある。ASD学生に対する合理的配慮の実施にあたって、これらの困難さは、授業担当教員や周囲の学生から見えづらいため、支援の必要性が理解されにくく、結果として円滑な配慮実施につながらない場合がある。本研究では、ASD学生への支援の充実には、周囲の存在のASDへの態度が非常に重要であると考え、障害に対する潜在的態度に焦点を当て、潜在的態度測定課題の開発、障害種による態度の比較、および程度変容に効果的な介入法の検討を目的とする。 2020年度では、主に以下の3点について研究を進めた。(1)潜在的態度測定課題の妥当性を検討するために、態度に影響を与え回答を歪ませる変数として指摘されている社会的望ましさ指標と潜在的、顕在的態度との関連を検討し、顕在的態度においてのみ、有意な相関を認めた。(2)新型コロナウィルスの流行により、対面形式でのデータ取得が困難となったため、遠隔でのデータ取得が可能なwebベースの実験プログラムの開発を行った。(3)新型コロナウィルスの流行に伴い、オンライン形式での授業形態が普及したことにより、大学等における修学環境に大きな変化が生じた。それにより、今後、障害学生支援の方法についても変化が生じると考えられるため、今年度に実施されたオンライン授業における合理的配慮について、その効果と今後の課題について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行により、今年度予定していた介入研究を実施することが困難となった。これにより、当初の予定を変更し、遠隔でデータ取得が行えるよう、プログラム開発を行う必要性が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
潜在的態度の測定課題については、引き続き脳機能データ、および行動データの解析を行う。また、新型コロナウィルスへの感染対策として、対面形式ではなく、webベースの実験プログラムを開発したため、これを用いて介入研究を行う予定である。 具体的には、障害学生支援に関する支援者養成講座をフィールドとし、質問紙による顕在的態度と社会的望ましさ尺度を取得する。さらに、潜在的態度課題として、Implicit association test(IAT)を実施する。対象者に対して、ASD、および身体障害に対する前述の質問紙、IATを3時点(講座受講前、受講後、受講1ヶ月後のフォローアップ)で取得し、縦断的な態度の変化について対象とした障害種の比較検討を行うことを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた介入研究が新型コロナウィルスの流行により実施できなかったため、旅費や謝金などで今年度支給額の一部を来年度使用予定とした。
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