研究課題
本研究の目的は、可視性の低い自閉スペクトラム症(ASD)者に対する潜在的態度測定課題の開発、ならびに妥当性の検討、および、潜在的態度の肯定的変容を促す介入プログラムの開発である。潜在的態度の測定課題として、ASDと身体障害に対するImplicit association test(IAT)を開発し、障害種による比較の結果、ASDに比較して身体障害への潜在的態度は有意に否定的であることを明らかにした。また、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、IAT課題にて用いられた画像を見ている際の脳活動による潜在的態度指標の予測可能性を検討した結果、態度に関する脳内ネットワークのうち、ASDについては右側扁桃体、身体障害については右側尾状核における脳賦活データによって、IAT課題による潜在的態度指標(D score)を有意に予測できることが明らかになった。以上より、本研究において開発したIAT課題の妥当性について脳機能から検証することができた。潜在的態度の肯定的変容を促すことを目的とした介入プログラムの効果検証においては、大学生73名を3群(発達障害に関する介入群/身体障害に関する介入群/統制群)にわけ、介入プログラム実施前後、および1ヶ月後の3時点において、IAT課題による潜在的態度、および質問紙による顕在的態度のデータ取得を行った。予備的な分析の結果、対象群、データ取得時点、障害種の2次の交互作用が明らかとなったが、発達障害に関する介入群の被験者数が十分ではないため、2023年度も引き続きデータ取得を予定している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Autism and Developmental Disorders
巻: Online first ページ: 1-11
10.1007/s10803-022-05749-y