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2019 年度 実施状況報告書

思考プロセスの個人差に応じた創造性教育プログラムの開発と検証

研究課題

研究課題/領域番号 18K13236
研究機関大阪大学

研究代表者

山口 洋介  大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (60769602)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード創造的思考 / 創造性 / 拡散的思考 / 発想技法 / アイデア生成 / プロトコル分析 / 発話思考法 / タイピング思考法
研究実績の概要

2年目は,一事例実験デザインに基づいて,思考プロセスの分析,および,個に応じた介入手法の開発のためのデータ収集を開始することを目標とした。まず,アイデア生成に関する課題を作成した。先行研究で用いられる課題を参考にしつつ,現実場面において起こりうる事態を提示して,アイデアを生み出すように求めるという種類の課題を対象とすることにした。複数の課題を考案した後に,参加者の既有知識の差が小さいことや,参加者の関心をある程度は喚起することを基準に選定作業を行った。次に,実験の手続きおよびマニュアルを作成した。思考プロセスに関するデータの収集においては,発話思考法とタイピング思考法を,参加者の取り組みやすさに応じて使い分けることにした。先行研究を収集し参考にすることで,両手法に関する教示を作成した。参加者は,両手法を練習した後に,どちらか1つを選択し,本番の課題に取り組んだ。なお,タイピング思考法においては,パソコンのキーボード入力,もしくは,参加者のスマートフォンのどちらか入力しやすい方を選択できることとして,タイピングの速さについて測定する課題も実施した。測定は同じ文章を用いて二度行い,早い方の結果を参加者の成績として採用した。思考プロセスの報告を行った次の回では,回顧的なインタビューを実施し,補完的なデータを収集した。文字に起こされた思考プロセスに関するプロトコルを提示しながら,「こういうところがよかったと思うところは?」「ここはあまりよくなかったと思うところは?」「こうすればもっと良いアイデアを出せる可能性を高められるかもしれないと思うところは?」といった問いを行い,回答を求めることで,データ収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題の作成・選定,発話思考法およびタイピング思考法に関する教示の作成,思考プロセスの報告手法の実施方法および練習方法の構築,一事例実験デザインに基づくデータ収集といった作業を,一通り進めることができた。一方で,感染症対策のため,データ収集作業に支障が生じた。データ収集は実験室において1時間以上を要するとともに,インタビューによるやりとりも含まれる。そのため,実験を控えたことで,あまり多くのデータを蓄積することはできなかった。しかし,その分,創造性向上に向けた個別的な介入手法について,先行知見の収集・整理を継続して図り,いくつかのアプローチ案の検討を進めている。

今後の研究の推進方策

3年目は,引き続き,思考プロセスの分析,および,個に応じた介入手法の開発のためのデータ収集を行い,知見の蓄積・洗練化を図る。それらの成果をもとに,思考プロセスの個人差に応じたトレーニングのあり方をまとめたテキスト教材の試作を行う。一方で,感染症対策のために,データ収集を十分に進められない可能性もある。その場合には,オンラインでの調査や,文献のさらなる収集,理論的分析といった形で,研究を進めることとする。

次年度使用額が生じた理由

思考プロセスの分析および介入手法の開発のためにデータ収集を開始した一方で,新型コロナウィルスの感染拡大に伴って,データ収集を見合わせた。参加者について,社会人や他大学の学生を募るために,調査会社を経由して呼びかける予定であったが,その分が使用できなかった。また,それに合わせて,データ整理の補助を依頼するための人件費が発生しなかった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of the type of backchannel utterances in idea-generation2019

    • 著者名/発表者名
      Sannomiya Machiko、Yamaguchi Yosuke
    • 雑誌名

      The Japanese journal of psychology

      巻: 90 ページ: 301~307

    • DOI

      https://doi.org/10.4992/jjpsy.90.18311

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 介入効果の個人差:創造性への介入2020

    • 著者名/発表者名
      山口洋介
    • 学会等名
      日本発達心理学会第31回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 成果に基づく創造性の定義に関する理論的考察2019

    • 著者名/発表者名
      山口洋介・三宮真智子
    • 学会等名
      日本心理学会第83回大会
  • [学会発表] IPEパラダイムを活用した 多面的な理由推理トレーニング2019

    • 著者名/発表者名
      三宮真智子・真下知子・山口洋介
    • 学会等名
      日本心理学会第83回大会
  • [学会発表] 創造性の測定方法に関する理論的妥当性2019

    • 著者名/発表者名
      山口洋介・三宮真智子
    • 学会等名
      日本教育心理学会第61回総会
  • [学会発表] 創造性研究の立場から見た介入研究のあり方2019

    • 著者名/発表者名
      山口洋介
    • 学会等名
      ソーシャルモチベーション研究会サマーカンファレンス 2019 京都 & 新学術領域「意志動力学」第2回心理系研究交流会
    • 招待講演
  • [図書] 学ぶ・教える2020

    • 著者名/発表者名
      中澤 渉、野村 晴夫、金澤 忠博、木村 涼子、篠原 恵介、園山 大祐、澤村 信英、中村 瑛仁、中井 宏、山口 洋介、西森 年寿
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      大阪大学出版会
    • ISBN
      978-4-87259-621-2

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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