研究課題
若手研究
本研究により、理系を進路として選択するために求められる経験は、学校教育と家庭環境に大別されることが示された。学校教育においては、周りの生徒との絶え間ない比較を通して理数教科に対する得意・苦手意識を形成し、これが理系の自己認識に繋がること、さらに他者からの指摘が自己の適性認識を促進することがわかった。一方、家庭環境としては、親の職業や家庭における特定活動への親しみが影響を及ぼすとともに、親との対話や共同作業が子供の理系としての自己認識を育むことも明らかとなった。
科学教育
自己の将来に理系キャリアを選択肢として意識するには、試験の点数や偏差値などの客観的な技能評価指数のみならず、理数科目に対する自己の適性への主観的判断や、周りにいる他者による正負の社会的方向付けなど多様な要因が長期に渡り絡み合うと考えるのが妥当である。しかし国内の科学教育研究においてこのような時間軸に沿った質的解析が行われたことはない。本研究から得られる生徒の意思決定プロセスに関する知見は、教育を長期的視点で捉える際に役立つことが期待できる。