本研究は、悲しみを適切に表出することによるより効果的な解消方法の提案に向けた基礎的知見を明らかにした。死別や失敗といった悲しみの種類に応じて、各々に特徴的な言語・行動表出の存在が示唆された。悲しみの種類に着目した研究は類を見ず、学術的意義が高い。また、本研究により明らかになった悲しみと関連する身体表出の知見を活かし、身体表出を促す新たな自己対処プログラムの作成にも寄与できる可能性がある。死別による深い悲しみは、人生において避けることはできず、複雑性悲嘆やうつ病をまねくこともある。こうした悲しみから早期に、適切に回復する方法を考えることは社会問題として重要であるため、社会的意義も大きい。
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