本研究では、自閉スペクトラム者は社会的選好性が弱いというよりむしろ特定の事物や特徴への選好が過剰であり、この過剰な選好性が発達の軌跡に影響を与えることを想定する。4つの調査により、学童期、青年期、成人期の自閉スペクトラムおよび非自閉スペクトラムの人たちにおける選好性の様々な側面を検討した。結果、構造化された場面では自閉スペクトラムと非自閉スペクトラムの人たちとで明確な違いは見られなかったが、構造化されておらず、より自由に反応や行動が可能な場面では違いが見られた。自発的な反応を捉えることは自閉スペクトラムの人たちの選好性や発達の本質を理解するために不可欠であることが考えられる。
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