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2018 年度 実施状況報告書

脳波と人工知能を用いた条件づけによるマインドワンダリングへのメタ的気づき能力上昇

研究課題

研究課題/領域番号 18K13332
研究機関株式会社国際電気通信基礎技術研究所

研究代表者

川島 一朔  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (90773292)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードマインドワンダリング / デフォルトネットワーク / セイリエンスネットワーク / 瞳孔径 / 心拍誘発電位
研究実績の概要

本研究において基幹となるアイデアは、マインドワンダリング(現在の課題から注意がそれること)を検出しフィードバックすることで、「マインドワンダリングをしている状態」と「外部への注意」に連合(古典的条件づけ)が生じ、マインドワンダリングへ気づく能力が高められるというものである。この仮説の検討と、これを応用した介入方法の開発を、3つの研究を通して行うことを計画していた。本年度においては、研究1のデータを予定の半分ほど取得したほか、研究2, 3の予備的検討や実施準備を進めた。
人工知能学会全国大会では、研究の前提となるこれまでの研究結果の報告をポスター発表にて行った。日本生体医工学大会ではこれに加え、本研究の基盤となる推定技術についてポスター発表を行った。日本心理学会大会において行われたシンポジウムでは、この研究の計画と予備的データの発表が行われた。ジャーナル「精神科」においては、「マインドワンダリングと脳波」という題において、本研究の背景となる先行研究のレビューが行われた。
研究代表者の所属が、株式会社国際電気通信基礎技術研究所へと変更された。研究を実施する環境が変わったことに伴い、より価値のある研究を行うための計画変更を行うとともに、新しい計画を実行するための予備的研究を行った。新機関は核磁気共鳴画像法(MRI)を所有している。そこで当研究においても、研究の価値をより高めるため、MRIを用いた実験計画を取り入れることとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者の所属が、株式会社国際電気通信基礎技術研究所へと変更された。ここでは、MRIを使用した長期間のニューロフィードバック訓練を用いた実験が度々行われている。そのため、長期間の訓練に参加可能な被験者情報を持っている。これを利用することで、長期訓練を行う研究3の研究期間を大きく短縮できることが見込まれた。一方、謝金支払いに関する規定により、被験者に支払う最低額が前所属と比べて高額となった。そのため、予定していた被験者数を確保することが難しくなった。さらに、購入を予定していた簡易脳波計にサブスクリプション規約が追加され、研究データを収集するためには高額の年間料金を支払う必要性が生じた。そのため購入する機器を再検討し、予定よりも少ない機器数で研究3を行うこととした。以上より、予定より少ないデータ数から最大限の知見が得られるよう、データの精度を高めるための予備実験に時間を使った。実験3を実践する上で、簡易なポータブルデバイスによってマインドワンダリングの検出を行う必要がある。装置が簡易であるほどデータ数やデータ精度が増えるため、より簡易な装置から検出を行う技術を開発することが重要となる。予備実験により、瞳孔径および心拍誘発電位を検出のための変数として導入することで、装置の簡素化ができる可能性が示された。さらに、MRIを使用した研究計画の立案や、MRIを使用するための調整に時間を割いた。これら研究活動のために、予定していた研究1および研究2のデータ取得や成果発表に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

従来の計画では、3つの研究を計画していた。研究1は、古典的条件づけのパラダイムによりマインドワンダリングへのメタ的気づきを高められることを確かめるものである。研究2では条件づけにおける条件刺激のモダリティを検討し、研究3では、この条件づけをくりかえすことによる日常生活におけるマインドワンダリングへの効果を確かめる計画であった。MRIを使用することで、従来の計画になかった検討を行うことができる。例として、条件づけによる神経回路間の結合(マインドワンダリングの基盤となるデフォルトモードネットワークと、それへの気づきを反映するセイリエンスネットワークの結合)が確かめられる。また研究2で検討を計画していた条件刺激のモダリティについても、セイリエンスネットワークと各感覚野の結合を調べることによって、より妥当性の高い主張を行える可能性がある。瞳孔径についてはマインドワンダリングとの関連が先行研究で報告されてきた一方、心拍誘発電位とマインドワンダリングとの関連性を示した研究は見られない。実験3において、この関連性を報告することで、マインドワンダリング研究への発展へさらに資することができる。前述のように、研究3で使用する予定であった機器を揃えることが難しくなったため、研究3で取得できるデータ数の見込みを下方修正した。取得できるデータ数から価値のある知見を導けるよう、訓練前後のMRI測定を計画に組み込むことを引き続き計画する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画全体の予備実験に時間を使った分、予定していた実験数を行わなかった。また、購入を予定していた計測装置の価格設定が変わったため、代替となる測定装置を再検討する必要が生じた。主に以上の理由により、予算の一部を次年度使用することとした。
翌年度には、両年度分の実験を行うほか、代替となる計測装置の購入を行う計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] マインドワンダリングと脳波2019

    • 著者名/発表者名
      川島一朔・熊野宏昭
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 34 ページ: 132-137

  • [学会発表] Investigation of Mindfulness Mechanism via Estimation of Mind-Wandering using Electroencephalogram2018

    • 著者名/発表者名
      Kawashima, I., Takahashi, T.,Kikai T., Sugiyama, F., Kumano H.
    • 学会等名
      第57回日本生体医工学会大会
  • [学会発表] 心理学における機械学習アプローチの可能性(シンポジウム)2018

    • 著者名/発表者名
      高村真広, 横山仁史, 川島一朔, 高岡昂太, 浅川伸一, 国里愛彦
    • 学会等名
      日本心理学会第82回大会
  • [学会発表] Mindfulness and the flexinility of mind-wandering2018

    • 著者名/発表者名
      Kawashima, I.
    • 学会等名
      International Symposium on Clinical Neuroscience of Mindfulness
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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