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2021 年度 実施状況報告書

ヒト視知覚における時空間的文脈効果の脳内処理

研究課題

研究課題/領域番号 18K13365
研究機関北海道大学

研究代表者

金子 沙永  北海道大学, 文学研究院, 准教授 (60763183)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード色知覚 / 色相 / 初期視覚野 / 個人差
研究実績の概要

本年度は2020年にCerebral Cortex Communications誌で発表した色相選択的な定常的視覚誘発電位(SSVEP)の個人差解析を行なった。色覚情報処理における未解明の問題の1つに、皮質での色相情報の表現がある。Kaneko et al. (2020)では初期視覚関連領域を信号源とすると推定されるSSVEP応答の全体平均パターンから当該脳領域での色情報が、それ以前の表現(反対色表現)とは異なるものであると提案した。本研究では、異なる視点としてSSVEP応答の個人差に着目し、その解析(相関パターン、因子分析、非計量多次元尺度法)から背後にある色相選択的なメカニズムの様相を明らかにしようと試みた。本研究結果からは2つの重要な示唆が得られた。1つ目は、SSVEP応答振幅は近接した色相間に限定して非常に高い相関が見られるだけでなく、一定のパターンを持って負の相関を示す色相の組み合わせが存在することである。2つ目は、相関パターンと非計量多次元尺度法の両方から示唆される色相選択的メカニズムが、3色あるいは4色の正負入り混じった応答組み合わせにより構成されるものであり、従来から提案されてきた色メカニズムとも異なるものであることである。1つの可能性として、新しく見出された「メカニズム」が脳内の複数の処理段階に存在する別のメカニズムの応答の組み合わせであることは考えられる。このことは信号源の特定が難しい脳波研究の特性によるものであり、心理物理実験の結果や他の脳機能イメージング研究の結果などと併せて提案メカニズムの妥当性について慎重に検討する必要がある。以上の結果はVirtual Vision Sciences Society 2021において発表された。この研究はJohn F. Kennedy大学のPeterzell教授との国際共同研究として実施されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度前半に国際共同研究として進めている色相選択的なSSVEP応答の個人差解析の研究成果を国際会議で発表することができた。しかし研究代表者に長期病気療養が必要なことが判明し、またパンデミックの影響もあり、予定していた実験実施等その後の研究計画に遅れが生じた。次年度以降に前年度までの計画を持ち越すこととした。

今後の研究の推進方策

今後の研究では予定していた複数の視覚属性での同時対比を比較する実験を行うと同時に、前年度までに行なった色相マスキング実験の結果の解析・成果発表を行う。色相マスキング実験は前年度までに研究代表者が所属していた東北大学で実施したものであり、データの解析に関する打ち合わせや必要な追加実験などは主に東北大学で行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

上記の通り複数の視覚属性での同時対比を比較する実験を実施する予定であったが、研究代表者の病気療養のため計画通りに実験を実施することができなかった。そのため予算に未使用額が生じた。未使用額は次年度に引き継ぎ、前年度実施予定だった同時対比の実験を実施する経費と、前年度までに実施したSSVEP実験の学会発表・論文発表の経費、研究打ち合わせのための旅費に充てることとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] John F. Kennedy University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      John F. Kennedy University
  • [学会発表] In search of early cortical mechanisms for color: individual variability in steady-state VEP amplitudes for hues sweeping around the isoluminant LM and S cone-opponent plane.2021

    • 著者名/発表者名
      Kaneko, S., Kuriki, I., Peterzell, D. H.
    • 学会等名
      Virtual Vision Sciences Society 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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