本研究の特色は、ラフ積分と呼ばれるラフパス理論における線積分概念にある。通常のラフ積分の定義は補正されたリーマン-スティルチェス和の極限として与えられる。その一方、本研究のラフ積分の定義は補正された非整数階微分作用素を用いてルベーグ積分として明示的に与えられ、通常のラフ積分と比べて簡明な取り扱いを実現する。ラフパスで駆動される微分方程式の理論においてもラフ積分は重要であり、本研究はラフパス理論における線積分や微分方程式に対してより簡明な取り扱いを実現し、ラフパス理論を用いた確率解析の研究に新たな方法を提供することが期待される。
|