本研究では量子可積分性が非平衡状態にある系の物理的振る舞いに与える影響を調べることを目的とし,次の成果を得た. (1) 異方的ハイゼンベルグスピン鎖に対し,準局所的かつスピン反転非対称な保存量を構成した.(2) 非平衡定常状態にある異方的ハイゼンベルグスピン鎖の振る舞いが,(1)で構成した保存量のうち線型独立なもので特徴づけられることを示した.(4) 異方的ハイゼンベルグスピン鎖の両端に散逸の付いた開放系について,定常状態におけるカレントの振舞いに可積分性がどのように影響するか調べた.特に,バルクに局所不純物のある場合,可解な定常状態におけるスピンカレントが不純物の影響を受けないことを示した.
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